地域経済論 シラバス

馬場敏幸

 

【講義概要】

本講義では、アジアを中心として後発国が経済発展に成功するためにはどのような要因が必要となるかを考えてみたい。一般的に、後発国が経済発展に成功するためには工業化が重要な鍵となることが多い。この際、当初は労働集約的な産業を育成し輸出志向工業化戦略を採用することにより低所得国から中所得国に向けての経済発展成功は多くの事例がある。しかしより国の産業が競争力を持ち、更なる成長を続けるためには、次の段階に向けて何らかの変貌が必要となる。本講義では、そうした低所得国→中所得国→先進国の道筋を工業と技術に焦点をあて理解を深めたい。

 

【教科書】 アジアの裾野産業 (馬場敏幸・白桃書房)

 

【主題と目的】

@       主題:国の経済発展の際、低所得国→中所得国→先進国に至る道筋と、各段階における経済発展要因をアジアの事例より考察する

A       工業発展に重要な役割を果たすサポーティング・インダストリーについて理解を深める

B       重要であるが育成困難な産業を育成する方法について、アジアにおける成功事例より考察を深める

 

【内容と構成】

@     アジア経済概要T:NIEs諸国の概要と経済発展の特徴

A     アジア経済概要U:ASEAN諸国の概要と経済発展の特徴

B     アジア経済概要V:中国・インドの概要と経済発展の特徴

C     アジア経済概要W:開発経済の立場から見たアジア経済発展論

D     アジアの産業集積論T:サポーティング・インダストリーとは何か?

E     アジアの産業集積論U:サポーティング・インダストリーを構成する諸産業と技術

F     アジアの産業集積論V:自動車産業と電子産業における調達構造の違い その1

G     アジアの産業集積論W:自動車産業と電子産業における調達構造の違い その2

H     ケーススタディT:インドネシアの自動車産業発展に見る政策の影響

I     ケーススタディU:インドネシアのローカル自動車部品産業の事例

J     アジアの産業発展論T:後発国の発展と技術移転の役割 その1

K     アジアの産業発展論U:後発国の発展と技術移転の役割 その2

L     ケーススタディV:日本はいかにして工業後進国から工業先進国に変貌したか?

M     ケーススタディW:韓国が技術移転困難と言われていた金型産業育成に成功した要因

N     ケーススタディX:中国の金型産業 技術移転の努力と発展段階 その1

O     ケーススタディY:中国の金型産業 技術移転の努力と発展段階 その2

P     ケーススタディZ:インドの自動車部品産業・金型産業 技術移転の努力と発展段階 その1

Q     ケーススタディ[:インドの自動車部品産業・金型産業 技術移転の努力と発展段階 その2

 

【評価基準】 出席 50% 授業への取組 50% 

【研究テーマ・主要業績】

講義担当者のホームページ(http://www.t.hosei.ac.jp/~ba2/index.htm)を参照されたい。