ポーランド/ドイツ紀行 写真集





ワルシャワにある、ワルシャワ蜂起の記念碑。8月1日にここをドイツのシュレーダー首相が訪れ、スピーチを行い、財産権問題はもはやドイツとポーランドの間の問題ではない、と明言し、ドイツ国の被追放者団体の間で物議をかもした。。






有名なアウシュビッツ強制収容所の入り口。写真では見えにくいが「B」の文字が上下と表裏が逆さになっている。
アウシュビッツはクラクフからバスで行ける。しかし公共の交通機関ではかなり行きにくいところで、ここに到着しただけである種の達成感を感じる場所である。






クラクフにあるバヴェル城。タイムスリップしたような感じ。クラクフという町は、町全体が歴史的建造物で満ちている。




ヴロツラウの町並みとオーデル川。ヴォルツロフはドイツ領時代のブレスラウ。シュレージエンの中心的な町であり、ベルリン以東最大の都市。ベルリンやドレスデンと同じようなドイツ人の町であった。今その痕跡は建築にのこっている。この町は教会が多いが、そのほとんどが戦後プロテスタントの教会からカソリックの教会に変わった。また、道の標識、店の商標も、ドイツ語表記からポーランド表記に変えられたという。




ヴロツラフの旧市庁舎の前の私。いかにもドイツ的建築物。この旧市庁舎は歴史博物館になっている。第二次大戦前のこの町が「ドイツの」町であったという歴史への直接の言及は微妙に回避されている。だが入り口のホールに市にゆかりの深い重要人物の胸像がならんでいて、そこには明らかに「ドイツ人の」名前の人物が飾られている。




聖アンナベルク教会。戦後もドイツ語で礼拝が行われたという数少ない教会である。オーバーシュレージエンにある。またこの教会のある町は、ポーランド人とドイツ人の対立の歴史を象徴する町でもある。第一次大戦後のオーベーシュレージエンの領土帰属をめぐって行われた1921年の住民投票の結果、この地域はドイツに属することになった。それに反対するこの地域のポーランド住民がこの町で住民蜂起を起こしたのである。蜂起はドイツ人義勇兵の力で鎮圧された。しかし両民族集団の対立の記憶はその後も根強く残ることになった。1989年に(ベルリンの壁が穂解する直前、というよりちょうど崩壊するそのとき)ドイツのヘルムート・コール首相がポーランドを訪問したさい、この地を訪れ、ドイツ語のミサに出席するかどうかが政治問題となった。結局コールはこの町の訪問を断念し、その代わりにヴルツロフ近くのクライザウを訪れることにある。このクライザウは、1944年7月にヒットラー暗殺計画を図った軍人グループの根拠地として有名な町である。戦後ドイツの「歴史の記憶」をめぐる政治を、この一連の動きは典型的に示している。




シュレージエンの風景。農村地帯に並木道が続く。見る戦争直後の「追放Vertreibung」の写真でよくみる風景(ドイツ人被追放者たちが、馬車などで長い列をなして進んでいる背後に広がる風景)を、いまも髣髴とさせるところがある。今回のポーランド旅行は、そのほとんどをレンタカーで回った。レンタカーはハーツ、エイヴィスなどの巨大資本がちゃんと入っている。私が利用したのはハーツ。ガソリン代が高いのに驚いた。




ポーランドとチェコとの国境(ズデーテン山脈)付近の保養地Karpacz。ここから登山やスキーで有名なRiesengebirge(ポーランド語でKarkonoszeと呼ばれている)に行ける。冬はスキー(少し上にSchneekoppeというスキー場がある)、夏は登山や保養のため多くの観光客が訪れている。この地には限らないにしても、この地で特にびっくりしたのはドイツ人観光客の多さである。その多くが、年齢層から見て(あるいは彼らのアトラクションから見て)被追放者たちのいわゆるノスタルジー・ツアーであろう。結果的に、今回シュレージエン地方をめぐって印象深かったのは、かつてのドイツの痕跡というより、現在におけるドイツ人観光客の多さであった。ただ、この有名な保養地にも、日本人はおろか黄色人種は訪れないようである。町をあるくと周りの人々からものめずらしく眺められたものである。ホテルでも「日本人のお客さんは初めてだ」といわれ、パスポートをしげしげと見ていた。




国境の町ゲリリッツ。ポーランドのEU加入が決まったとはいえ、まだ国境管理は厳しい。この町の住民はナイセ川を挟んで往来が自由だそうだが、外部者である私はこの町の中にさえ入れなかった。




ヴロツラフの駅。ここからベルリンまで電車。今は旧西側では見なくなったコンパートメント型の列車だった。




そして、ベルリンの州立図書館Staatsbibliothekに到着。ヴィム・ベンダースの映画『ベルリン天使の詩』の舞台になったところ。この向かい側は、有名なベルリンフィルの根拠地、フィルハーモニーである。今回はこの図書館に2週間ほど通いつめた。ちょうど今回の旅行が終わったあと、『ベルリン天使の詩』で主役の天使を演じたスイスの俳優ブルーノ・ガンツがヒットラーを演じた映画『Untergang』が封切られた。この映画は、ヨアヒム・フェストの著作をもとに、ドイツ降伏直前、ヒットラー最後の日々をあつかっている。残念ながら見ることはできなかったが、日本で公開されるのだろうか。


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