◎授業で使用するレジュメは、各自授業支援システムからダウンロードして持参してください。(授業内では配布しません。) |
【テーマ】
国家の社会理論
【講義の到達目標】
国家がどのような能力をもち,われわれの社会生活にどのような作用を果たしているのか.また国家はどのような歴史をたどってつくられ,また今後どのような方向に向かって変化していくのか.この講義では,国家を社会学的に把握するための複数の理論的アプローチを紹介しながら,国家という制度の特徴やメカニズムについての理解を深める.
【講義の予定】(変更の可能性あり)
1.イントロダクション
—国家と私たちはどのような関係にあるのか,なぜ国家について学ぶのかなど,授業全体のイントロダクション
2.国家とは何か
—この講義における「国家」の基本枠組みの紹介.国家に固有な能力と,それが社会にもたらす作用について考える.
3.国家と暴力
−『社会学の根本概念』におけるマックス・ヴェーバーの国家論を検討し,ヴェーバーによる国家の定義の意味を考える.さらに,ノルベルト・エリアスの「文明化の過程」,ニクラス・ルーマンの権力論,ジョルジョ・アガンベンの「例外状態」論についてもふれながら,国家と暴力の問題について
4.国家と官僚制
−ヴェーバーの官僚制論,ロバート・マートンの「官僚制の逆機能論」について考える.
5.国家と戦争
−チャールズ・ティリーの歴史社会学から戦争が国家形成に果たして役割について説明し,最近の財政史研究の知見もふまえながら,ティリーの「軍事・財政モデル」の有効性について考える.
6.国家と正当性
-ヴェーバーの「支配の社会学」とピエール・ブルデューの国家論を紹介しながら,「国家の正当性」について考える
7.国家と社会
—マイケル・マンの権力論を踏まえながら,軍事国家から民政国家への転換と,「国家と社会」について考える
8. 国家と情報の管理
−ミシェル・フーコーの「統治性」の議論を紹介した後,国家による社会の情報管理を公式統計や国勢調査の発生から,最近のインターネットの発展と国家の関係まで,様々な観点から考える.
9.国家とナショナリズム
—アーネスト・ゲルナー,アンドレアス・ウィマー,ロジャーズ・ブルーベイカーの議論を紹介しながら,国家とナショナリズムの関係について考える.
10.国家と社会福祉
−福祉国家形成に関する代表的な理論を紹介しながら,国家の社会福祉的機能が拡大していく過程について考える.
11.国家のグローバル化
−ジョン・メイヤーの新制度主義理論を紹介しながら,国民国家のグローバル化について考える.
12.「崩壊国家」とは何か
−アフリカで多く指摘されている「崩壊国家」について考える.
13.グローバル化の中の国家
−グローバル化論が主張する「国家の衰退論」(大前研一,スーザン・ストレンジ,ウルリヒ・ベックなど)およびそれに対する批判的議論(ヨアヒム・ヒルシュの「国際化した競争国家」論,じぇフリー・ギャレットらの「国家による補正」論,リンダ・ワイスの「制度的媒介」論など)をともに検討しながら,グローバル化の中での国家の変容について(シュテファン・リープフリートらの「国家の変容」研究)考える.
【レジュメ・資料について】
授業で配布するレジュメ・資料は,授業支援システムにアップする.授業の前に各自ダウンロードし,プリントアウトする等して授業に持参すること.
【受講上の注意】
言わずもがなだが,授業内の私語は厳禁.目に余る場合は減点の対象とする.
【評価の方法】
期末試験の成績のみを評価の対象にする.出欠席は特に問題としない.
【リアクション・ペーパー】
毎回提出すること.単に「感想」とか「わかったこと」ではなく,授業の内容に対する疑問や批判を書くこと.リアクションのなかから次回の授業でいくつか紹介し,返答する.優れたものにはクレジット(加点)を与える.
【小クイズ】
何度か抜き打ちで小問に答えてもらう機会をつくる予定.授業の内容の理解を確認するため.
【テキスト】(必携.生協のテキスト売り場に置く予定.)
マックス・ウェーバー(清水幾太郎訳)『社会学の根本概念』(岩波文庫)
佐藤成基『国家の社会学』(青弓社,2014年12月25日刊)⇒生協にすでに売っています。
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