社会学理論 BⅡ(2014年度後期)
後期水曜2限 教室(未定)

今学期は終了しました

 ◎授業で使用するレジュメは、各自授業支援システムからダウンロードして持参してください。(授業内では配布しません。)

 



【テーマ】
国家の社会理論


【講義の到達目標】
国家がどのような能力をもち,われわれの社会生活にどのような作用を果たしているのか.また国家はどのような歴史をたどってつくられ,また今後どのような方向に向かって変化していくのか.この講義では,国家を社会学的に把握するための複数の理論的アプローチを紹介しながら,国家という制度の特徴やメカニズムについての理解を深める.


【講義の予定】(変更の可能性あり)
1.イントロダクション 
  —国家と私たちはどのような関係にあるのか,なぜ国家について学ぶのかなど,授業全体のイントロダクション

2.国家とは何か
  —この講義における「国家」の基本枠組みの紹介.国家に固有な能力と,それが社会にもたらす作用について考える.
3.国家と暴力
  −『社会学の根本概念』におけるマックス・ヴェーバーの国家論を検討し,ヴェーバーによる国家の定義の意味を考える.さらに,ノルベルト・エリアスの「文明化の過程」,ニクラス・ルーマンの権力論,ジョルジョ・アガンベンの「例外状態」論についてもふれながら,国家と暴力の問題について

4.国家と官僚制
  −ヴェーバーの官僚制論,ロバート・マートンの「官僚制の逆機能論」について考える.

5.国家と戦争
  −チャールズ・ティリーの歴史社会学から戦争が国家形成に果たして役割について説明し,最近の財政史研究の知見もふまえながら,ティリーの「軍事・財政モデル」の有効性について考える.

6.国家と正当性
 -ヴェーバーの「支配の社会学」とピエール・ブルデューの国家論を紹介しながら,「国家の正当性」について考える

7.国家と社会
 —マイケル・マンの権力論を踏まえながら,軍事国家から民政国家への転換と,「国家と社会」について考える

8. 国家と情報の管理
 −ミシェル・フーコーの「統治性」の議論を紹介した後,国家による社会の情報管理を公式統計や国勢調査の発生から,最近のインターネットの発展と国家の関係まで,様々な観点から考える.

9.国家とナショナリズム

 —アーネスト・ゲルナー,アンドレアス・ウィマー,ロジャーズ・ブルーベイカーの議論を紹介しながら,国家とナショナリズムの関係について考える.

10.国家と社会福祉
 −福祉国家形成に関する代表的な理論を紹介しながら,国家の社会福祉的機能が拡大していく過程について考える.

11.国家のグローバル化
 −ジョン・メイヤーの新制度主義理論を紹介しながら,国民国家のグローバル化について考える.

12.「崩壊国家」とは何か
 −アフリカで多く指摘されている「崩壊国家」について考える.

13.グローバル化の中の国家
 −グローバル化論が主張する「国家の衰退論」(大前研一,スーザン・ストレンジ,ウルリヒ・ベックなど)およびそれに対する批判的議論(ヨアヒム・ヒルシュの「国際化した競争国家」論,じぇフリー・ギャレットらの「国家による補正」論,リンダ・ワイスの「制度的媒介」論など)をともに検討しながら,グローバル化の中での国家の変容について(シュテファン・リープフリートらの「国家の変容」研究)考える.


【レジュメ・資料について】
授業で配布するレジュメ・資料は,授業支援システムにアップする.授業の前に各自ダウンロードし,プリントアウトする等して授業に持参すること.


【受講上の注意】
言わずもがなだが,授業内の私語は厳禁.目に余る場合は減点の対象とする.


【評価の方法】
期末試験の成績のみを評価の対象にする.出欠席は特に問題としない.


【リアクション・ペーパー
毎回提出すること.単に「感想」とか「わかったこと」ではなく,授業の内容に対する疑問や批判を書くこと.リアクションのなかから次回の授業でいくつか紹介し,返答する.優れたものにはクレジット(加点)を与える.


【小クイズ】
何度か抜き打ちで小問に答えてもらう機会をつくる予定.授業の内容の理解を確認するため.


【テキスト】(必携.生協のテキスト売り場に置く予定.)
マックス・ウェーバー(清水幾太郎訳)『社会学の根本概念』(岩波文庫)
佐藤成基『国家の社会学』(青弓社,2014年12月25日刊)⇒生協にすでに売っています。







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